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「今、どのくらい酔ってる?」をリアルタイムに予測する仕組み

飲んでいる最中、「自分は今どのくらい酔っているんだろう」と思ったことはありませんか。顔の赤さやいい気分でなんとなくは分かっても、数字で見えるわけではありません。飲み帳は、飲んだものを記録するだけで、いまの血中アルコール濃度の推定と「酔いの段階」をその場で見せるiPhoneアプリです。その予測が、どういう仕組みで出ているのかを説明します。

記録すると、その場で濃度を計算する

1杯記録するたびに、飲み帳は血中アルコール濃度の推移を計算し直します。使っているのは思いつきの目安ではなく、確立されたアルコールの薬物動態——体に入ったアルコールが、どう吸収され、広がり、抜けていくか——の考え方です。アルコールは胃で約25%、残りの大部分が小腸で吸収され、ほぼ全量が血液に移ります。[1] そして肝臓で分解されていきますが、その速さには個人差があります。[1][6]

同じ量でも、酔い方は人それぞれ

同じ缶ハイボールを1本飲んでも、酔いの出方は人によって違います。飲み帳は、性別・体重・身長・赤くなりやすさといった個人差を踏まえて計算するので、その違いを反映します。[4][5]とくに日本では、お酒で赤くなりやすい体質(ALDH2のはたらきが弱い)の人が多く、これは血中アルコール濃度そのものより、「同じ濃度でどれくらいつらく感じるか」に効いてきます。赤くなりやすさは、アルコール(エタノール)そのものではなく、分解の途中でできるアセトアルデヒドを処理する酵素のはたらきにかかわります。だから、血中アルコール濃度の数字が同じでも、つらさの出方は人によって変わります。飲み帳が最初に「赤くなりやすさ」をたずねるのは、このためです。

「酔いの段階」で見る

血中アルコール濃度は、酔いの程度を決めます。[2] 一般には、爽快期・ほろ酔い期・酩酊期……というように段階で語られます。[3] 飲み帳は、計算した濃度を、こうした「いま自分がどのあたりにいるか」が直感的にわかる段階として表示します。数値だけでなく、状態として見えるようにするためです。

爽快期 0.02–0.04%
ほろ酔い期 0.05–0.10%
酩酊初期 0.11–0.15%
酩酊期 0.16–0.30%
泥酔期 0.31–0.40%
昏睡期 0.41%〜
血中アルコール濃度と「酔いの段階」(一般的な目安)

いま上がってる?下がってる?

濃度は、飲んだ直後にすぐ最大になるわけではありません。アルコールが胃や小腸から吸収されて血中に行きわたるまでに時間がかかるので、最後の一杯を飲み終えても、濃度はしばらく上がり続けます。ピークが来るのは飲み終わりより少しあと——空腹ならより急に、何か食べていればゆるやかに、という違いもあります。[7] 「もう飲むのをやめたから大丈夫」と思っても、実際にはまだ上がっている最中、ということが起こります。

だから飲み帳は、今の数字だけでなく、いまの濃度が上がっている途中なのか、もう下がり始めたのかという方向と、このあとの見通し、そして飲むペースも示します。

一つの値ではなく「幅」で

ここが、ありがちな計算機との大きな違いです。体質や体調による不確かさがあるぶん、飲み帳は濃度をひとつの値ではなく推定の幅で示し、誤差は安全側(高め・遅め)に寄せます。下の図のように、同じ「いま」でも、点ではなく幅で見るということです。

1杯目 2杯目 Nomicho:幅で見る 他の多く:一つの値 0306090120180 飲み始めからの時間(分) 濃度(高い↑) 帯=推定の幅
中ジョッキを30分あけて2杯。t=60分のときの見え方(概念図)

なぜ一つの数字で言い切れないのかは、「お酒が抜ける時間」を一つの数字で言えない理由でくわしく説明しています。

できないこと

飲み帳の予測は計測器ではありません。アルコール検知器のように実測しているわけではなく、入力と一般的なモデルからの推定です。ですから、運転できるかどうかの判断や、法的・医学的な判断には絶対に使わないでください

記録から予測まで

居酒屋やバーの定番を約45種類内蔵しているので、飲んだものはワンタップで残せます。中ジョッキと大ジョッキ、サイズ違いまで選べて、純アルコール量は度数と量から自動で計算され、そのまま予測の材料になります。

参考

  1. [1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールの吸収と分解
  2. [2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「血中アルコール濃度
  3. [3] サントリー「酔いってなに?」(酔いの段階)
  4. [4] Watson PE, Watson ID, Batt RD. Total body water volumes for adult males and females from simple anthropometric measurements. Am J Clin Nutr. 1980;33(1):27–39.(男性の体水分量。「アルコールが広がる体積」を体格から出す式の基礎)
  5. [5] Forrest ARW. The estimation of Widmark's factor. J Forensic Sci. 1986(女性の式。Searle 2014 による再導出)。
  6. [6] Jones AW. Evidence-based survey of the elimination rates of ethanol from blood. Forensic Sci Int. 2010(アルコールが抜ける速さ β と、その個人差の幅)。
  7. [7] Veasey et al. 2020, PMC7185312(食事の有無による、血中アルコール濃度がピークに達するまでの時間の違い)。

飲み帳が実際にどんな式と一次資料でこれを計算しているかは、予測の方法論で公開しています。

本記事は一般的な情報であり、医学的・法的な助言ではありません。グラフは説明のための概念図で、特定の人の数値を示すものではありません。